特別企画:FIFA会長選挙を前に候補者5名が答えた「サッカー界が背負う社会的責任」

今週2月26日にFIFA会長選挙が行われます。 立候補者は5名。

いよいよブラッター会長に代わる新しい会長が決まります。

さて、その会長選挙を前に、streetfootballworldがとても面白い試みをしています。

候補者5名全員の公式文書を「サッカー界が背負う社会的責任」の視点で切りとり、幾つかのテーマを私たち自身が評価し、会長にふさわしいと思う人物に投票できるキャンペーンを開始しました。

「Unleash Football」

http://www.unleashfootball.com

評価のテーマは、サッカー界が直面している3つの課題「ジェンダーの不平等」、「社会活動の予算化」、「コミュニティとの繋がり」について。

各候補者それぞれの考えをまとめています。

現在のところ、ヨルダンサッカー協会会長 アリ・ビン・アル・フセイン王子が64%の票を集め、トップを独走しています。もちろんこの票が直接的に実際の会長選挙に反映されるものではありませんが、双方の結果に違いが出るかどうか興味深いところです。

Unleash Footballの投票結果は、会長選挙前日の25日に公表されます。

今回の投稿では、「ジェンダーの不平等」についての各候補者の回答をまとめました。

【立候補者5名】 

ヨルダンサッカー協会会長 アリ・ビン・アル・フセイン王子

アジアサッカー連盟(AFC)サルマン・アル・ハリファ会長

FIFA元副事務局長のジェローム・シャンパーニュ 氏

欧州サッカー連盟(UEFA)ジャンニ・インファンティーノ 局長

南アフリカの事業家トーキョー・セクワレイ 氏

●ジェンダーの平等

サッカー界におけるジェンダー格差でよく取り上げられる事例はW杯での待遇です。2014年W杯優勝チームへの賞金は、3500万ドル。一方、2015年「女子」W杯優勝チームへの賞金は、200万ドルとその格差は約17倍になります。昨年10月にジェンダーにも言及する「Good Practice Guide on Diversity and Anti-Discrimination」を公表したところですが 、今後、組織レベルから各コンテンツレベルまで様々なところでジェンダー格差の解消が求められています。

質問

「サッカー界のジェンダー格差解消に向けて、あなたは何が最も重要だと思いますか?」

▶︎アリ王子

「私は、FIFA組織内の指針整備とジェンダーバランスに取り組むつもりです。平等な報酬システムの整備、ジェンダーバランス改善施策の成果を測定するため外部の専門組織と連携することを考えています。 女子W杯については、FIFA内にインキュベーターのチームを設置し、女子W杯の商業価値を最大化し、そうした新たな収益源をベースとした予算整備を考えています。財務面の改善に加え、女性コーチや審判の育成を支援するプログラムを増やすなど、サッカーの普及に向けた成長戦略も行っていくつもりです」

▶︎サルマン氏

「AFCの執行委員会には、他のサッカー連盟、FIFAよりも多くの女性が在籍している。なぜなら女子サッカーの普及・選手育成だけでなく、トップレベルでの女性参画を進めているからです。アジアには日本や中国、韓国、オーストラリアなど世界でも有数の選手を抱えており、アジアの女性はサッカーに強い関心を示しています。私たちは女子サッカーを積極的にサポートする施策を通じて、AFCが女子サッカー界の世界的なリーダーであることを証明している。AFCで女子サッカーは主要課題の一つであり、私たちは女子サッカー界に確固たるサポートを届けることで女性のさらなる活躍を促進してきました。」

▶︎シャンパーニュ氏

「最も重要なことは、さらに女性のスタッフ・選手を増やすこと。今のところそれは正しい方向に進んでいる。例えば、ノルウェーサッカー協会では、執行委員会の女性スタッフが半数に達し、女性のサッカー選手登録数は10万人に達した。サッカー界で多くの女性がリーダー的ポジションについている。グアテマラ、シエラレオネ、タークス・カイコス諸島のサッカー協会の会長、フランスやグレナダの専務理事、オセアニアサッカー連盟の事務局次長も女性です。けれども、まだ不十分であり、以下3つのことを考えている。1つは、女子のクラブW杯を作ること。2つ目は、FIFA内に女子サッカー担当の部署をつくること。3つ目は、メルケル首相の働きかけによりドイツ大手企業で管理職の30%を女性とすることが法律化されたように、全てのサッカー協会/連盟の理事会メンバーに女性の定員を設けることです。」

▶︎インファンティーノ氏

「マニフェスト通り、女子サッカーの普及、FIFA本部における優秀な女性スタッフの雇用促進など、組織内でさらなる多様性を推進していきたい。世界人口の半分は女性ということを考えても、女子サッカーのポテンシャルは非常に大きい。女子コーチの育成から女子W杯の露出増加、世界各国で女子サッカーリーグの発展に至る分野までFIFAは女子サッカーが次なるレベルへ成長するべく牽引役とならねばならない。これらの成果の本質は、さらに多くの女性がリーダーポジションを担うところにある。」

▶︎トーキョー氏

「サッカー界に女性が参加するにあたり、いかなる差別を受けてはならず、幼少期の指導、専門的なコーチ、サッカーアカデミーなどトレーニングと施設が身近にあるべきだと考えています。特に途上国においては、政府のスポーツ関連省庁及び国際的なスポンサードからの資金が女子サッカーに投入されるよう働きかけが必要となっています。また、若い女性の選手を勇気づけ、女子サッカーに対する世論の意識を醸成するために、女子W杯だけでなく、もっと女子サッカーの放送を増やすことに目を向けています。」


終わり。