サッカー界が示す「クラブの垣根を越えた」難民支援。

欧州サッカー界で難民支援が広がっています。

European Club Associations (ECA/欧州クラブ協会) は、欧州の難民支援に対してチャリティキャンペーン「90 Minutes for Hope」をおこない、130万ユーロ(約1.7億円)をSave the Children とunicefに寄付しました。

欧州サッカー界における難民支援は、これまでバイエルン(100万ユーロ)、レアル・マドリー(100万ユーロ)、ドルトムント、セルティックなど各クラブが寄付支援を発表しています。

ECAは、2008年に設立された欧州地域のサッカークラブ連合体として各クラブの代わりに選手・クラブの権利促進に取組んでいる組織で、現在53ヶ国の103クラブが所属しています。代表選手に対する保険システムの導入や選手・クラブに負担が掛かりすぎない国際試合数の設定を実現するなど組合的な活動を中心としていますが、今回の「90 Minutes for Hope」はFCポルトの提案をきっかけに、その組織力を活かし、クラブの垣根を越え協力するかたちで実現しました。

「90 Minutes for Hope」は、UEFAチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグの試合(9/15~9/17と9/29~10/1に開催される試合が対象)のチケット1枚購入するごとに1ユーロがSave the ChildrenとUnicefに寄付されるというもの。クラブの協力は義務ではなく、有志のクラブのみがそのチケット売上から寄付をしています。

130万ユーロの寄付を達成し、ECAのチェアマンであるルンメニゲ氏は以下のようにコメントしています。

「私たちは社会の重要な一員として、子どもたちの生活環境に影響を与えているこの状況に目をつむるわけにはいかない。悲惨な状況下にある子どもたちと家族の支援を懸命に続けるSave the ChildrenとUnicefの活動に貢献できることを光栄に思います。多くのクラブが「90 Minutes for Hope」に参加してくれたことは私たちの誇りです」

*「“90 MINUTES FOR HOPE” RAISES EUR 1.3 MILLION FOR CHILD REFUGEES IN EUROPE」

https://www.savethechildren.net/article/“90-minutes-hope”-raises-eur-13-million-child-refugees-europe

これから難民問題はさらに新たな問題に直面します。

冬期の寒さにより、難民の人たちの生活はさらに悪化することが懸念されています。

中でも、その過酷な環境にもっとも影響を受けるのは子どもたちです。

欧州への難民は、2015年だけで870,000人を越え、そのうち20%が子どもです。

世界規模でみれば、難民数はおおよそ6000万人。その半分が子どもだと言われています。

今回の寄付によりSave the Childrenとunicefは、冬を乗り越えるための防寒具や水・衛生用品といった物の配布から、人々の心理的ケアや医療サポートなどのソフト支援、子どもが日常生活を取り戻すための施設や赤ちゃん・お母さんなど特別なケアが必要な人向けのシェルター設置などの活動をおこないます。

これからも「個」だからできる各クラブの柔軟な支援活動とともに、今回の取組みのようにの各クラブの垣根を超えて規模を活かした支援活動の拡大が期待されます。


終わり。