「女性の、女性による、女性のためのサッカー:FIFA U-17 Women’s World Cup 2016のレガシー政策」

(文:河内一馬)

10月にヨルダンで開催れた「FIFA U-17 Women’s World Cup 2016」。

女子サッカー日本代表は、惜しくも決勝戦で敗れ優勝を逃しましたが、その健闘ぶりに日本でも大きな話題になったことは記憶に新しいと思います。

しかしこの大会には、勝ち負けという結果よりも、さらに大きな「意義」が存在していたことを、私たち日本人は知りません。今回は、この大会が世界にとって、サッカーにとって、どんな意味を持つのか?それを皆さんと共有していきたいと思います。

女子サッカー

近年、男子サッカーと同じく、当たり前のように世界中で女子サッカーがプレーされるようになりました。その背景には、2012年に「ヘッドスカーフ(ビジャブ)を着用してプレーをすること」が許可されたことが、大きな転機の一つになったと、僕は思っています。これは非常に大きな意味を持つ出来事です。イスラム教では、女性が家族以外の男性に顔を見せることがタブーとされています。日常的にヘッドスカーフを着用しているイスラム教の女性は、かつて国際大会に出場することが出来ませんでした。2011年のロンドン五輪予選では、今大会が行われたヨルダンの代表選手3人が、ヘッドスカーフを着用していたため出場資格を剥奪されました。それをきっかけに世界的に反発が強まり、国際サッカー評議会は2012年、正式にヘッドスカーフの着用を認めます。そしてその4年後に行われたイスラム圏での大会が、この「FIFA U-17 Women’s World Cup 2016」だったのです。


女性の、女性による、女性のためのサッカー

ヨルダンサッカー協会とFIFAの共同で主催されたこの大会は、プレーをする選手に限らず、大会を取り巻く多くのポジションを女性が担いました。そして、ヘッドスカーフを巻く現地の女性がその役割を担うことで、「サッカーはみんなのもの」という揺るぎない事実を証明しています。さらに、同大会のために建設されたスタジアムは、老若男女、健常者、障害者に関わらず、すべての人がアクセスしやすいように造られており、現地の車椅子に乗る女性は、ビデオの中で嬉しそうに「人生で初めての体験」と語っていました。


始まり

この大会を含めた4年間のプロジェクトの中には、ヨルダンのサッカー認知度を高める活動や、指導者研修プロフラムなど、持続可能なプログラムがFIFAによって多く組まれました。「私たちのミッションはまだ完成していない。この大会は、これから続く長い旅の始まりに過ぎない」。そう語るように、このプロジェクトを始まりにし、ヨルダンという国にさらにサッカーが普及し、女性が尊厳され、スポーツによる雇用が生まれれば、世界から女性差別や宗教差別がなくなるための一つの力になることは、間違いありません。


サッカーの力

サッカーの力が南アフリカの黒人差別「アパルトヘイト」を打ち破る大きな要因となったことは、ご存知でしょうか?サッカーを始めとしたスポーツが、アパルトヘイトという大きな歴史を変える力となったのです。もし興味があれば、下のリンクから『サッカーが勝ち取った自由 アパルトヘイトと闘った刑務所の男たち』を是非読んでみてください。

この本を読んだ時と同様、このヨルダンの記事を読んだ時は、サッカーの大きな力を改めて感じずにはいられませんでした。サッカーが持つ大きな力を確かめていくことで、それが何かの「始まり」になると信じています。

今回の取り組みはFIFAの動画からご覧いただけます。