事例:サッカーを活用し社会問題解決に取組む団体(アフリカ編)
昨年末にJリーグから素晴らしいニュースが発表されました。
「Jリーグが防災教育:今年4月の大震災で9000人近い死者を出したネパールで、サッカーのJリーグが中心となり、スポーツ教室と防災教育を組み合わせた活動を来年1月から開始する。」
http://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/domestic/20151227-OYT1T50013.html
これまでサッカークリニックに代表されるようサッカーの普及や選手育成でアジア各国の信頼関係を築き、今度はサッカーを活用し現地ニーズの高い社会問題解決に貢献する試みです。
素晴らしいですよね。こうした活動をどんどん展開してほしいですね。
海外にもサッカーを社会問題解決のツールの使う団体が数多くあります。
今回はアフリカにフォーカスして4つの団体を紹介します。
(住民と一緒にパレードしながらサッカー大会に向かうスタッフ)(c)Ryoya Kato
●Grassroot Soccer
http://www.grassrootsoccer.org
【活動国】
南アフリカ、ジンバブエ、ザンビアなど20カ国で活動
【分野】
HIV/AIDS防止
【プログラム概要】
Grassroot Soccerは、サッカーを通じた社会問題解決の分野を代表するNGOで、「AIDSのない未来をつくる」ことを目標に掲げています。サッカーとHIV防止・ライフスキル教育に特化したオリジナルサッカープログラムを子ども向けに提供している他、女性のエンパワメント、ロールモデルとなるコーチ育成、子どもが子どもに教えるPeer to Peerトレーニングなどを実施しています。また、団体スタッフやボランティアは一定期間アメリカでトレーニングを受けてから現地活動に参加するようになっているため、能力がとても高いことも特徴です。
(サッカー大会の会場に設置されたHIV/AIDSの検査ブース)(c)Ryoya Kato
●Carolina for Kibera
【活動国】
ケニヤ
【分野】
貧困解決、女性のエンパワメント、HIV/AIDS防止、部族間和平
【プログラム概要】
ゴミを集めリサイクリングでお金を稼ぐ「Trash is Cash」プログラム、学校へ通うための就学援助金の提供とキャリアサポート、10代の女性を対象とした保健施設の運営など、サッカーを呼び水に子ども・若者を集め、教育・保健・就職支援などのプログラムを提供しています。また、部族間の理解促進のため、様々な部族をごちゃまぜで組んだチームによるサッカー大会、町の清掃もおこなっています。
(c)Carolina for Kibera
●AMANDLA EduFootball
【活動国】
南アフリカ
【分野】
貧困解決、犯罪防止、孤児支援、教育
【プログラム概要】
サッカープログラム、サッカー大会と「自己発見」、「意識変革」、「リーダーシップ」を中心としたライフスキル教育を提供。特に優れた参加者には4年間のリーダーシッププログラムを提供しています。また、もっとも犯罪率の高い夜間にリーグ戦を実施し、子ども・若者による飲酒や薬物使用、犯罪削減に貢献しています。
(c)AMANDLA EduFootball
●Sport- The Bridge
【活動国】
エチオピア
【分野】
ストリートチルドレン
【プログラム概要】
ストリートチルドレンの子どもが家族のもとに戻り安心・安全に暮らせるように、子どものその家族を対象に教育、栄養、ヘルスケアのサービスを提供しています。2010年W杯のFIFAレガシー政策の協同パートナーの1つとして、サッカーグランドをスポーツプログラム運営のみならず、収益事業に活用しています。
(c)Sport- The Bridge
今回取り上げた4団体は対象としている国や社会問題、組織規模、財務規模が大きく異なりますが、1) サッカーを呼び水として活用していること、2)意識と行動を変えるプログラムを併用していること、3) 社会問題の解決に直結する教育・保健・栄養のサービスは専門家と協力体制を築いていることが共通点として挙げられます。
サッカーの力ですべての問題が解決できるわけではありませんが、
「問題を抱えている人」と「問題を解決できる人」をつなぐことができるのがサッカーの素晴らしさですよね。
終わり。
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