「ここで遊んでいいんだ。」日常に溶け込むキッズピッチの風景/ 熊本 vol.2
2025年11月30日に熊本で誕生した子どもたちの遊び場「キッズピッチ」。
あれから数ヶ月、日常の風景はどのように変わったのでしょうか。
(以下写真:©︎JFA PR)
「キッズピッチ」は、日本サッカー協会(JFA)が実施する、子どもたちが自由に、安心してボール遊びやスポーツを楽しめる場をつくる取り組みです。私たちlove.fútbol Japanは、この事業のサポートをしています。
この記事では、設置開始から数ヶ月が経った熊本県のCOSMOS(熊本県フットボールセンター)の「キッズピッチ」が、どのように子どもたちの日常に溶け込んでいるか、同施設を運営する松下涼太さんにお聞きしました。
松下 涼太さん
株式会社熊本フットボールセンター 代表取締役
©︎熊本フットボールセンター
「キッズピッチ」のある日常
── 日常的に、「キッズピッチ」はどのように利用されていますか?
松下: COSMOSは人工芝のサッカーコートを2面備えた施設で、週末には様々な年代のサッカーの試合が行われています。そういう日に、試合をしている選手の幼い妹や弟が「キッズピッチ」で遊んでいますね。これまでは、そういう子たちが手持ち無沙汰というか、どこで遊んでいいかわからないところもあったと思うんです。グラウンドで遊んでいて、お兄ちゃんたちが強く蹴ったボールが当たると危ない。でも「キッズピッチ」があると、妹や弟たちもそこでのびのびとボールを蹴って遊んでくれています。
── 小さい子たちのボール遊びの場になっているんですね。平日はいかがですか?
松下:開所式以降、繰り返し遊びに来てくれる兄弟がいるんです。COSMOSがある嘉島町のサッカーチームの子たちで、多分もう「自分のピッチだ!」くらいに思っているんじゃないでしょうか(笑)。また、施設内に保育園を備えているんですが、そこの園児たちが午前中や夕方に遊んでいますね。囲われている空間なので、すごく安心して子どもたちをみていられると先生方から聞いています。
──「安心して遊べる」というのは、「キッズピッチ」でとても大事にしている部分でもあります。実際に利用している子どもたちや保護者からは、どんな声がありますか?
松下: 子どもたちからはもっぱら「楽しい。試合っぽくていい」ですね。保護者の方からは、先ほどの話にあったように「子どもの試合観戦に一緒に連れてきて、妹や弟が遊ぶ場所があるのはすごく助かっている」という声をいただいています。
── 「試合っぽくていい」というのは?
松下: 囲われていて特別感があるっていうのが、たぶん子どもにとっては楽しいところみたいです。ゴールもあるし、ただの遊びでも試合をしている気分になれるんでしょうね。それに、囲われていることで、見てる人から応援してもらってるみたいな感覚を勝手に感じられて、ミニスタジアムみたいな雰囲気がありますよね(笑)。
主体性を引き出し、コミュニケーションが生まれる
── 「キッズピッチ」で遊んでいる様子で、印象的だったことを教えてください。
松下:設置前も、芝生広場で休んでいるチームやボールを蹴っている子たちはいたんですが、「キッズピッチ」があると自然と試合やチーム分けが発生していくのが面白いですね。それに、違うチームの子同士が一緒に遊んでいる様子が増えたように感じていて、それは新しい風景かなと思っています。
── 子どもたち同士のコミュニケーションが自然発生しているんですね! 安全に使ってもらうための工夫はされていますか?
松下: 基本的には、やっぱり自分たちでしっかりと楽しんでもらえるような雰囲気にできるといいよねっていうところで、できるだけ見守ろうっていうスタンスです。COSMOSという施設全体がそうなんですが、あまり注意事項ばかりになりたくないなとは思っていて。子どもというよりは大人に向けてセーフガーディングのポスターで、「こういう意図で、このピッチはありますよ」「見守ってくださいね」というところは情報発信させていただいています。
── 子どもたちの主体性を大事にされているということですね。
松下: そうですね。開所式の日もそうだったんですが、大人がいなくてもなんとなく子どもたちの中で役割や、ルールを決めていって遊んでいる様子が見れたんです。きっと初めて会う子もいたと思うんですが、「キッズピッチ」という空間がそれを促してくれている感じはありますね。そうやって遊んだ子が、また他の子に遊び方を教えていく、というように広がっていってほしいなとも思います。
──設置当初からこれまで変化したと感じることはありますか?
松下: 設置したばっかりの時は「これ、入っていいんですか」という問い合わせが多かったです(笑)。 きれいな芝生があったら入っちゃいけないって、どうしてもみんな思うみたいで、施設としても「入ってきていいですよ」と看板まで出しているぐらいなんです。ただ、キッズピッチが置いてあると「これなんだろう」って寄っていって、「ここで遊んでいいんだ」って思ってもらえているなと感じます。
── その問い合わせは、どれくらいで減りましたか?
松下:設置から 1ヶ月ぐらいですかね。リピーターの子はもう聞かずに入っていきますし、1人か2人が中に入っていれば、それを見た子たちも「遊んでいいんだ」と理解して、入っていくような流れになっています。そういう問い合わせは、今ではほとんどなくなりましたね。
まずは多くの人に知ってもらえるように
── キッズピッチを移動してイベントに参加された話も伺いたいです。
松下: 1月10日、11日に熊本市の中心部で熊本県サッカー協会のイベントがあり、そこでキッズピッチを組み立てました。そこでは、元日本代表の巻誠一郎さんのサッカー教室をしたり、 ロービジョンフットボールやアンプティサッカーの体験会を行いました。移動して組み立てられるというにはすごくメリットだと感じていて、防災イベントや障がい者サッカーの体験などいろいろな形で活用できるなと感じています。
(上記2枚 ©︎熊本県サッカー協会)
── 最後に、これからの展望を教えてください。
松下: まずはもっと多くの人に知ってもらって、利用者が増えるといいなと思っています。まだまだ目的地というほどにはなってないとは思うので、しっかりと周知をしていければなと思っています。それも子どもたちだけでなく、親子や家族で遊んでもらっていいものなので、そういう風景が生まれるように、情報を発信していきたいなと思っています。
今回は、COSMOS(熊本県フットボールセンター)に設置された「キッズピッチ」の様子を、運営会社代表の松下涼太さんにお伺いしました。
次の記事ではCOSMOSと松下さんが「キッズピッチ」と出会った経緯や、設置に至った思いについて掘り下げます。
【キッズピッチについて】
キッズピッチは、日本サッカー協会と日本財団による「JFA×日本財団 子ども未来プロジェクト」の一環として、子どもたちが安全に、安心してボール遊びをしたり、スポーツを楽しんだりする場や機会を提供するとともに、障がいの有無や年齢・発達の違い、国籍などの違いを超え、全ての子どもたちが別け隔てなく健やかに成長できる環境を広げることを⽬的に実施されています。
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